【パチンコ・スロット依存の回路を止める】見える化で暴走を止める脳の整え方

「意志の力」でやめるのは、なぜ難しいのか?

「もう行かないと決めたのに、またやってしまった」
「今日こそ我慢しようと思ったのに気づいたら…」

──そんな経験、ありませんか?

それは、あなたの“意志”が弱いせいではありません。
脳には、過去に得た快感を記憶し、その記憶に基づいて自動的に行動を起こす仕組みがあるからです。

この記事では、そうした“脳のクセ”に気づき、記録と見える化によって暴走回路を制御する方法をお伝えします。

※本記事は筆者の個人的な体験と学習に基づいた内容であり、医学的・専門的助言を提供するものではありません。依存症に関する治療や支援が必要な場合は、専門の医療機関や相談機関に相談することをお勧めします。
詳しい情報やサポートを受けるには、 厚生労働省 依存症対策ポータルサイトをご覧ください。

STEP確認

この記事はギャンブル依存症から抜け出すための「STEP1-4」です。
シリーズの他の「STEP 1」記事もあわせて参考にしてみてください。

シリーズ全体の流れを確認したい方はこちら。

目次

脳の“報酬回路”は、意志より早く動く

ギャンブルで当たったときの快感。その記憶は、脳の報酬系(ドーパミン回路)にしっかり刻まれています。

  • イライラしているとき
  • スマホでホールの広告を見たとき
  • 給料日でお金に余裕があるとき

こうした場面で、脳は過去の快感を呼び出し、「またあれを味わいたい」と無意識に命令を出します。


書くだけで脳の暴走が止まる?──“見える化”の力

ここで効果的なのが、記録による見える化です。
ただ記録するだけで、無意識の自動運転から「自分で選べる状態」へと変わっていきます。

具体的には:

  • やりたくなった状況をメモする
  • 感情を言葉にして書き出す(例:「ストレス」「退屈」「孤独」など)
  • どんな出来事がスイッチになったかを記録する

このようなアウトプットによって、理性をつかさどる脳の前頭前野が活性化し、衝動をコントロールしやすくなります。

補足

心理学でもこの効果は「ラベリング効果(言語化によって感情が弱まる)」として知られており、感情を言葉にすることで、その強度が弱まることが分かっています。また脳科学的にも、「前頭前野(理性的判断を担う部位)」が活性化することで、衝動をコントロールしやすくなるとされています。

保全士:ひろのぶ

機械の現場では、異常が起きた時点で記録を残し、再発を防ぐのが基本です。
何が起きたのかを見える化=可視化するだけで、次に備えることができます。
人間の行動も同じです。
行動や感情を「点検表」として残しておくことで、次に同じスイッチが入りそうになったときに、気づいて対処する準備ができます。


見える化しておくべき3つの項目

項目内容例
① やりたくなった日とその理由「雨で外に出たくなかった」「人間関係のストレス」など
② スイッチになった出来事「ATMに寄った」「一人きりで過ごしていた」など
③ 乗り切れた日と方法「散歩に出た」「本を読んで気をそらせた」など
保全士:ひろのぶ

これをノートでもスマホのメモでもOK。とにかく“見える場所に残す”ことが大切です。せっかく点検しても「点検表」が見当たらないのでは意味がありません。


「意思」ではなく「仕組み」があなたを守る

人間の脳は、「やめよう」とする意志よりも、習慣化された回路を優先して動くようにできています。

  • 我慢しようとすると反動がくる
  • 忘れようとすると、かえって意識が向いてしまう

だからこそ、意志の力で抑えるよりも、構造化された行動パターンで対策する方が効果的で現実的なんです。

記録 → 気づき → 見える化 → 調整

この流れができていれば、「無理してやめる」ではなく、「自然とやらなくなる」状態に近づいていけます。


まとめ:これは“終わり”じゃない。気づけた今が“再設計”の始まり

あなたが今まで記録してきた内容は、自分の中にある無意識のクセ=回路図です。

それが見えてきた今こそ、どこを調整すれば良いかが見えてくるタイミング
次は、その回路が暴走しにくい環境づくり(STEP2以降・STEP3)へと進んでいきます。

ポイント
  • 意志だけでやめられないのは自然なこと。脳の構造のせい
  • 記録による「見える化」で、行動回路を制御できる
  • 感情やトリガーを言語化することで、前頭前野が働き、衝動を抑えやすくなる
  • 無意識のクセを可視化すれば、行動を“選ぶ”ことができるようになる

※本記事は筆者の個人的な体験と学習に基づいた内容であり、医学的・専門的助言を提供するものではありません。依存症に関する治療や支援が必要な場合は、専門の医療機関や相談機関に相談することをお勧めします。
詳しい情報やサポートを受けるには、 厚生労働省 依存症対策ポータルサイトをご覧ください。

次回(STEP1-5)

次は、これまでの記録、トリガー、スイッチ、可視化のステップをまとめて振り返りながら、次のステップ=“誤作動の原因を理解して防ぐ”フェーズに進むための準備をしていきます。

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※本記事は筆者の個人的な体験と学習に基づいた内容であり、医学的・専門的助言を提供するものではありません。
必要に応じて、医療機関や専門相談機関のご利用をご検討ください。

参考・出典

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