行きたくなってしまうのは、「心の余裕」が足りてないからかもしれない
ギャンブルをやめようと決意したのに、
ストレスや不安が募ると、ふと「ちょっとだけなら…」という気持ちになる。
そんな経験、ありませんか?
これは意志の問題ではなく、心が疲れているサインかもしれません。
人間の脳は、ストレス状態になると“手っ取り早い快感”を求めて動き出します。
そのとき、ギャンブルのような「即効性のある刺激」に引っ張られてしまうのは、とても自然なことなんです。
この記事では、ギャンブルに「行きたくなる環境」を「行きたくならない環境」に変える為に心のケアに焦点を絞って解説します。
- 行きたくならない環境を作る方法(心の疲れ対策)
- 具体的にやるべき対策リスト
STEP確認
この記事はギャンブル依存症から抜け出すための「STEP3-2」です。
シリーズの他の「STEP 3」記事もあわせて参考にしてみてください。
- STEP 3-1【依存回路“物理的トリガー排除”】
- STEP 3-2【気持ちを整える“心のケア”】 ←今ココ
- STEP 3-3【依存回路の“人・感情・生活トリガー排除”】
- STEP 3-4【環境を整える】(STEP3まとめ)
シリーズ全体の流れを確認したい方はこちら。
「気持ちを整える」と、衝動が静まる
STEP3-1で物理的な環境を整えたら、次は“内側の環境”=心のケアです。
脳が「快感を求めて暴走する状態」にならないために、日常の中でストレスを抜く仕組みを作っておく。
それが、このステップで取り組む内容です。
衝動に負けない「心の整備」6つの具体策
🔹① 朝の太陽を浴びる
朝起きたら、5分でいいので窓のそばに立ちましょう。セロトニン(安定ホルモン)が分泌されて、一日気分が落ち着き、体内時計も整って、夜よく眠れるなど生活リズムが改善されるメリットがあります。
- カーテンを開けて陽の光を浴びる
- ベランダや玄関先に出る
- 寝起きのコーヒー・お茶タイムを日光の当たる場所で
他にもこんな“朝ルーティン”があります
- ラジオ体操で体をゆるめる
- 朝一に「今日やること」を紙に書く
- 軽く深呼吸する
- 太陽を見ながら伸びをする
- 少し窓を開けて空気を入れ替える
🔹② 軽くでも、体を動かす
体を少しでも動かすと、脳の緊張がほどけます。また、運動するとストレスホルモン(コルチゾール)が下がりやすくなると言われています。
- 近所を10分歩く
- ストレッチをする
- コンビニまで歩く
- 腕をぐるぐる回して肩をほぐす
- エレベーターではなく階段を使う
他にもこんな“軽い運動”があります
- ヨガ動画を1本だけ観ながらやってみる
- スクワットを10回だけやる
- ランニングではなく“散歩”でOK
- スマホを持たずに歩く
- 「足を止めない」を意識する
🔹③ 不安やイライラは「書き出す」
感情を紙に書くだけで、脳のモヤモヤは少し晴れます。脳は「整理された」と認識して落ち着きます
- 何があったのか事実だけ書く
- そのときどう感じたかをそのまま書く
- 誰にも見せない前提で書く
- 手書きが面倒ならスマホメモでもOK
- 「よく分からない感情」もOK
他にもこんな“書き方の工夫”があります
- 「今不安なことTOP3」を書く
- 「こうなったらいいのに」願望を妄想してみる
- ネガティブなことの裏にある“望み”を見つける
- 終わりに一言「おつかれ」と自分に書く
- 過去の自分へ手紙を書く気持ちで書く
🔹④ 1日1つ“安心スイッチ”を用意する
脳が「ここで落ち着ける」と感じる行動を、毎日の中にひとつ入れてみましょう。ルートをつくるのが目的。
- 好きな音楽を聴く
- 温かい飲み物を飲む
- あえて「今日のご褒美タイム」をつくる
- 湯船に10分だけ浸かる
- ペットと触れ合う/家族と短く会話する
他にもこんな“安心スイッチ”があります
- 窓を開けて風を入れる
- 好きな香り(アロマ・柔軟剤・石鹸)を楽しむ
- 雑誌やマンガを読んでリラックス
- 今日の「小さな達成」をひとつ思い出す
- 軽くストレッチ・体をほぐす
🔹⑤ SNSやニュースから距離をとる
スマホからの刺激は、気づかないうちにストレスの原因になります。情報過多はストレスの元になりやすい。ギャンブル系の投稿や刺激を避けるだけでも効果大。
- 通知をオフにする
- SNSアプリを1回アンインストールしてみる
- ニュースを見る時間帯を決める(例:昼だけ)
- フォロー・登録を一時的に整理する
- 「今日は1日SNSを見ない日」をつくってみる
他にもこんな“情報デトックス術”があります
- スマホの「集中モード」を活用する
- 寝る1時間前にスマホを触らない習慣
- スクリーンタイムを見て使用時間を把握
- YouTubeのおすすめを無視して目的の動画だけ観る
- 「通知に振り回されない日」を週に1回作る
「自分を乱すもの」と「距離を取る時間」を、毎日つくってみましょう
🔹⑥ 栄養を整えて、脳の安定スイッチをサポートする
心のコンディションは、気合や気分だけで決まるものではありません。
脳内で働くセロトニンやドーパミンなどの「安定ホルモン」は、食事から摂る栄養素を材料に作られていることが知られています。
つまり、栄養が不足していると、どんなに頑張っても心は安定しにくくなるのです。
特に意識したい栄養素
- たんぱく質(セロトニン・ドーパミンの材料)
- ビタミンB群(脳のエネルギー代謝をサポート)
- 鉄・亜鉛・マグネシウム(神経伝達の正常化に関与)
こんな工夫をしてみよう
- 朝食に「たんぱく質」(卵・納豆・ヨーグルトなど)を少しでも入れる
- できる範囲でバランスの良い食事を意識
- 食事だけで難しければマルチビタミンやプロテイン補助も一つの手
- 無理なダイエットや偏った食生活を避ける(極端な糖質制限なども注意)
「心の安定」も「栄養」という物理的な土台があってこそ。
少しずつ、無理なく「体に優しい選択肢」を取り入れてみましょう。

緊張が続く機械は、どこかで配線が焼けるんです。
人も同じ。
脳に“冷却時間”を与えないと、理性の回路が止まってしまう。
だからこそ、心のメンテナンスが安全装置になります。。
「今、やめたらこれだけ得する」も、心を守る燃料になる
例えば──
- このままのペースなら20年で●百万円負けるかもしれない
- その時間で学びや経験に使えば、人生の可能性が広がる
数字で見ると、「今やめる意味」がぐっと現実味を帯びてきます。
こういった“見えるメリット”は、やめるための燃料になります。
※このテーマは、STEP3-5で詳しく解説していきます
まとめ|心の余白が、やめる力を育てる
ポイント
- 衝動が出るのは、「心の疲れ」がサインを出しているから
- 心が整うと、ギャンブルに頼る必要がなくなる
- 自分のメンタルを整えることは、回路の“冷却”であり、再起動の準備
このSTEPで得られること
- 衝動の“土台”になっていたストレスを軽くできる
- 心が整うことで、衝動自体が湧きにくくなる
- 「自分は耐えられる」と思える余裕が生まれる
次回(STEP3-3)
次は、「人・感情・生活トリガー排除」を解説します。
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参考・出典
- 厚生労働省,依存症についてもっと知りたい方へ,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000149274.html - 厚生労働省,依存症対策,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000070789.html