STEP2の振り返り
STEP2では、ギャンブル依存症における脳の仕組みと、その行動がどのように形成され、強化されていくのかを解説してきました。
今回はその内容を振り返り、依存行動がどのように自動化されるのかを整理します。
この記事では、これまでの情報を一度整理し直し、次の段階(STEP3)に向けて理解を深めるためのSTEP2まとめ記事になります。
STEP確認
この記事はギャンブル依存症から抜け出すための「STEP2-5」です。
シリーズの他の「STEP 2」記事もあわせて参考にしてみてください。
- STEP 2-1【ドーパミンとハマる仕組み】
- STEP 2-2【やめどきが分からない】
- STEP 2-3【ブレーキが効かない】
- STEP 2-4【依存はどう強化される?】
- STEP 2-5【原因を知る】(STEP2まとめ) ←今ココ
シリーズ全体の流れを確認したい方はこちら。
目次
STEP2-1:【脳が快感を記憶する仕組み】
目的:依存の出発点=報酬記憶の仕組みを理解する
- ドーパミンが脳の報酬回路を刺激し、ギャンブルによる快感が記憶として強化されます。
- 「勝った記憶」が強く残り、脳はその感覚を再び味わいたいと無意識的に行動を促します。
- これが、ギャンブルに行きたくなる根本的な理由の一つです。
STEP2-2:【“もう一回だけ”が止まらない理由】
目的:錯覚が行動を継続させる脳とギャンブルの仕組みを知る
- 損失回避「利益より損失が痛い」とサンクコスト効果「取り返したい心理」が、依存行動を加速させます。
- 快感学習「小さな当たりも強く記憶」と認知バイアス「今日は引きが強い」が、依存行動を加速させます。
- 演出や確率が、勝てる感覚を持続させ、勝てる気がする錯覚を引き起こします。
- これが、「負けても続けてしまう」原因となり、脳はその認知バイアスに従い、行動を繰り返すのです。
STEP2-3:【理性が効かない?】前頭前野の疲労と変化
目的:意思の問題ではなく、脳の機能で理性が低下する
- 前頭前野は、衝動を理性で制御する役割(ブレーキ)を担っている
- ストレスや疲労が積み重なると、その前頭前野の制御力が低下します。
- ギャンブル依存の人は前頭前野の活動が低下している(研究結果あり)
- 判断はできていても止まらないという現象は、この前頭前野の疲労や変化が原因の一つです。
STEP2-4:【習慣化と自動思考で回路が強化される】
目的:習慣化と自動思考で依存回路が強化される仕組みを理解する
- 自動思考により日常の中のちょっとした“きっかけ”で、ギャンブルの“快感”記憶が呼び出されます。
- 繰り返しの行動が脳内ネットワークを強化し、習慣化される
- 自動思考と習慣化により自動化される仕組みです。
- 自動化されて何度も繰り返すことで、脳の自動運転モード“依存の回路”が出来上がる。
- 無意識 vs 意識のエネルギーは無意識が優勢、意識的な努力ではその行動を止めるのが難しくなります。
まとめ:自動化された依存回路を修正するために
ポイント
- ドーパミンが快感の記憶を強化し、自動思考が生まれる
- 演出と確率が脳を錯覚させ、行動を反復させる
- 前頭前野の疲労や変化が理性による判断力を低下させ、衝動を抑えられなくなる
- 習慣化と自動思考が脳内回路を強化し、依存行動が自動化される
次回(STEP3-1)
次は「パチンコ・スロットに行きたくならない環境を作る」を解説します。
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でも今は、そう感じていたのは“思考の仕組み”が乱れていただけだったんだと気づきました。
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参考・出典
- 厚生労働省,ギャンブル依存症の理解と相談支援の視点,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000633402.pdf - 厚生労働省,依存症対策,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000070789.html