「本当にやめなきゃダメなの?」
「たまにしかやってないし…」
「ストレス発散くらいで済んでる」
「生活に支障は出てない」
そんなふうに思っていませんか?
この記事では、「ギャンブルを完全にやめるべきなのか?」それとも「うまく付き合えばいいのか?」について、
脳のしくみと依存傾向の視点から、一緒に考えていきます。
STEP確認
この記事はギャンブル依存症から抜け出すための「STEP0-5」です。
シリーズの他の「STEP 0」記事もあわせて参考にしてみてください。
- STEP 0-2【依存症かも?と思ったら自分を見直そう】
- STEP 0-3【本当の目的は“刺激”や“快感”?】
- STEP 0-4【本当の目的は“金銭”?】
- STEP 0-5【パチンコ・スロットはやめるべき?】 ←今ココ
- STEP 0-6【パチンコ・スロット依存を放っておくと?】
- STEP 0-7【パチンコ・スロットにハマりやすい人】
シリーズ全体の流れを確認したい方はこちら。
ギャンブル自体は悪ではない。でも、注意すべき“ズレ”がある
ギャンブル自体は悪ではありませんが、注意すべき点があります。
ギャンブルが適切にコントロールされていれば、娯楽として楽しむことができます。実際に、趣味として楽しんでいる人も多いです。
しかし、いつの間にか「娯楽」が「習慣」や「依存」に変わることがあります。
最初は「少しだけ楽しむ」つもりが、
- 回数が増える
- 金額が増える
- 気分に左右されるようになる
こうした変化が、「ズレ」の始まりです。
では、やめるべきかを判断する3つの視点
次の3つは、ギャンブルを「続けてもいい人」と「やめた方がいい人」を分ける判断軸になります。
① 時間とお金がコントロールできているか?
- 決めた予算を守れているか
- やめたいときにやめられているか
② 人間関係に影響が出ていないか?
- 家族や友人との信頼を損ねていないか
- 隠し事や言い訳が増えていないか
③ 自分でも「やめた方がいいかも」と思い始めていないか?
- モヤモヤした罪悪感がある
- 勝ってもスッキリしない
- 「これでいいのか」と自問してしまう
減らすことはできるのか?──それが一番むずかしい理由
「別に完全にやめなくても、少しずつ減らせばいいんじゃない?」
そう思うのは自然なことです。実際、それでうまくいく人もいます。
でも──依存状態にある人にとって、「減らす」はもっとも難しい選択肢のひとつです。
脳の配線(報酬回路)がすでに変わっている
僕は元・機械保全士です。配線に不具合があると、正常に動作しません。
人間の脳も同じ。ギャンブルによって強化された“快感の配線”があると、「今日はこれだけ」「少しだけ」という判断すら、脳が上書きしてしまうんです。
- 決めた上限を超えてしまう
- 行かないと決めたのに足が向く
- やめどきがわからないまま続けてしまう
これは「意志が弱い」のではなく、脳の自動運転モードが暴走している状態とも言えます。
減らすつもりが「戻る口実」になっていないか?
「完全にやめるのは怖いから、ちょっとだけ…」
その“ちょっと”が、いつの間にか戻る入口になっていませんか?
依存傾向がある場合、「減らす」は感情に流されやすい危険な道でもあります。
ギャンブル、やめるべき?セルフチェックリスト
次の項目のうち、あてはまる数が多いほど、「やめる」ことが自分を守る選択肢になる可能性があります。
コントロールできている?行動チェック(Yes / No)
- □ 決めた予算・時間を超えることがある
- □ 負けを取り返したくて、やめられなくなることがある
- □ ギャンブルのことで家族や友人に隠し事をしたことがある
- □ 本当はもう行きたくないのに、気づけば通ってしまっている
- □ 負けたあとイライラしたり、気分が落ち込むことが多い
- □ 「今日こそやめる」と思っても、またやってしまう
- □ ギャンブル以外の趣味・楽しみが減ってきた
- □ ギャンブルのせいでお金の余裕がなくなってきた
- □ やっている最中、「自分、何してるんだろう」と思ったことがある
- □ 「自分はまだ大丈夫」と言い訳している気がする
判定の目安(※診断ではなく気づきのための目安です)
- 0〜2個程度なら:比較的コントロールできている状態かも
- 3〜5個なら:目的や頻度がズレ始めているかもしれません
- 6個以上なら:「やめる選択肢」が現実的に必要なタイミングかもしれません
異常は一気に壊れる前に必ず“小さなサイン”を出します。配線の焼け、振動音、温度の上昇──それと同じように、心や習慣にも「兆し」は出ています。気づいた今が、“止めて点検するタイミング”かもしれません。
健全なギャンブル vs 有害なギャンブル行為
やめるべきか迷っている方は、このリストで「自分がどちら側に近いか」を確認してみてください。
どちらが正しい・間違っているではなく、“今の自分を知る”ことが第一歩です。
✅ 低リスクのギャンブル行為 | ⚠ 有害なギャンブル行為(依存リスクが高い) |
---|---|
使うお金や時間をあらかじめ決めている | 予定より多くのお金や時間を使ってしまう |
予定通りにやめられる | 負けを取り返そうとする |
勝ちを「運がよかった」と捉えられる | 自分の技量で勝てると思い込む |
負けを受け入れられる | 勝つまでやめられない |
借金・家計を圧迫しない範囲で行う | 借金・他人の金・家計費に手を出す |
他の趣味や予定も大切にしている | ギャンブルが最優先になる |
問題から逃げるために使わない | 不安やストレスの逃避手段になっている |
ギャンブルについて正直に話せる | 隠したり嘘をついてしまう |
落ち着いた気持ちでプレイしている | 負けたあとに落ち込んだり怒ることが多い |
家族・友人との関係に支障がない | ギャンブルが原因でケンカ・不信が生じる |
参考:厚生労働省,ギャンブル依存症の理解と相談支援の視点,P40,2025/4/22
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000633402.pdf
やめる=人生を取り戻す選択肢かもしれない
やめることは、「何かを失う」ことではありません。
むしろ──
- 時間を取り戻せる
- お金を守れる
- 信頼関係が修復できる
- 集中力や自信が戻ってくる
こういった“見えにくい損失”に気づき、「守る」ための選択肢でもあります。
まとめ:「やめる or 続ける」ではなく、“今の自分の状態”を知ることから
- ギャンブルは悪ではないが、コントロールできていない場合は依存に進行する可能性がある。
- やめるべきか続けるべきかは、「時間とお金のコントロール」「人間関係への影響」「自分の罪悪感や疑念」を判断材料にする
- 減らすことは難しく、依存状態の人には「ちょっとだけ」という選択肢が難しい場合が多い。
- 依存が進む前に、セルフチェックリストで自分の状態を振り返り、必要なら専門機関に相談することが大切。
- やめることは失うことではなく、時間やお金、信頼関係を守るための選択肢となりうる。
次回(STEP0-6)
次はギャンブル依存によって何がどう変わっていくのかを「4つのステージ」の順にわかりやすく解説していきます。
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参考・出典
- 厚生労働省,依存症についてもっと知りたい方へ,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000149274.html - 厚生労働省,依存症対策,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000070789.html - 厚生労働省,ギャンブル依存症の理解と相談支援の視点,P40,2025/4/22
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000633402.pdf