スリップ(再燃・再発)をすると心が折れていく
最初のやめるタイミングが一番きつい、そんな依存症をせっかくやめ始めたのにまたスリップ(再発)してしまい、もうやめることそのものを諦めてしまおうか。
そんな経験や思いを皆さんもしたことがあるかもしれません。
ギャンブル依存症はギャンブルから離れて、脳の回復を待つ必要があります。
そして回復の具合は人によって様々ですが、ギャンブルをやめてから数年立ってもまだ行きたいと依存衝動がある人は大勢います。
そんな人の中にはスリップをして、また駄目だったと後悔をしたり、もう嫌だ、もういいやと諦めかけてしまう可能性もあります。
この記事ではそうならないためにも、スリップをしない心構えをいくつか私の実体験を踏まえて紹介していきます。
同じように悩んでいるあなたの、脱出の手助けになれたら嬉しいです。
- スリップをしない為の心構え
- スリップをしない為に何をしていけば良いのか
- たった一回でスリップを本当にするのか?(実体験)
- スリップしてしまった場合の対処方法
【心構え】一回くらいは大丈夫という甘い罠
これは一番注意が必要です。依存症は数か月やめた辺りから油断というか慢心が出てきます。
それが一回くらい大丈夫だろうと思う気持ち、これになります。
油断大敵
やめれたという成功体験と、今の自分なら大丈夫だろうという謎の自信でちょっとした機会があると試しに1回やってしまうことがあります。
たとえば
友人に誘われて一回くらい付き合いで良いかと行ってしまう。
しかし1度でもまたギャンブルをしてしまうと脳がせっかく治まってきていたのにまた快楽を学習し直して、忘れていた快楽を思い出して止まらなくなります。
ダイエットで言うとリバウンドの状態ですし、タバコでもよく聞く話ですね。
自分の防御力はゼロである
これに対する心構えとしてはギャンブルに対する自分の防御力はゼロだということ。これを忘れないでください。
様々な活動で自分に対して自信が付いていることでしょう、ですがことギャンブルに対する自信だけは信じないでください。
意思の力ではなく、脳が変化しているのが原因ですので試さなくても結果は分かります。
その為、対策としては誘われない環境作りを維持継続して行っていく、そして何よりギャンブルに対しては1回も防げない防御力がゼロだということを忘れないことが重要です。
【対策】常にサイクルを回し続けること
スリップ(再発)防止としてとにかく有効なのはギャンブルから離れた生活を送ることになります。その為にも今までと同じくギャンブルやストレスから離れて小さな快楽を育てる生活を送っていくことが大切です。
その為に下記リストに注意していきましょう。
- 新たな依存衝動スイッチがあれば都度対策する
- 代替行動の小さな快楽に目を向ける
- スケジュール管理を維持継続する
- 可能な限りストレスを減らす環境を作る
- 定期的に自己評価をする
【対策】複数の依存先を支えとする
私たちは日々生活を送る中で様々なものに依存して生活をしています。
ですのでギャンブル以外の依存先に、ギャンブルに頼りっぱなしだった自分を支えてもらうことも時には大切です。
- チョコレートなど甘い食べ物
- お笑い番組やゲームなど娯楽
- 友人や恋人、家族など気を許せる人
一つ注意点で、これらの行為も依存症になる可能性はあります。ただ違うのは依存症になっているか、いないかという点のみ。
そして依存症になってしまうと問題が発生し、やめられないし、やめた後にもただの1回でも手を出すと抜け出すことはまた困難になるという状態になってしまいます。
そこで1点集中すると依存先が依存症になる可能性があるので、複数の依存先を作ることを推奨します。
【心構え】依存症は治らなくても良い
最後に一つ、これはギャンブルをやめるうえで私にとって救いになる一言でもありました。
それはギャンブル依存症は治らなくても良いということです。
どういうこと?と思うかもしれませんが結果としてギャンブルから離れた生活を送れれば依存症であっても良いという話です。

当時の私はギャンブルに行きたくなる気持ちが湧くたびに「どんだけ自分は救いようがねぇんだ」と自分が嫌で泣いてしまったこともありました。
依存衝動が出たからと自分自身を嫌いになるとかまったく必要ないですし、依存衝動が治りきらなくても
「あぁまた依存衝動スイッチが入ったんだな」
と理解し、事実を受け止め依存衝動を抑え込む対策を取ればそれで良いのです。
厳密には依存症とは何か問題が起こるから依存症と呼ばれるわけですので、ギャンブルから離れて生活して、スリップをしなければギャンブル衝動があっても、依存症とはもう呼ばないのでしょう。
【体験談】たった1回で!?スリップの恐怖
ここからは私の実体験を少々話していきます。
依存衝動はあるが耐えられる
私自身がギャンブルをやめてから数か月立った時点では依存衝動はありました。
依存衝動の具合ですが、職場の同僚に私はギャンブルやめたからギャンブルの話題は出さないでと伝えてはあります。ですがやはり向こうも悪気はないのですが、何回か話題を振ってくる時があり、そうした時に行きたいなーと考える自分がいます。
ですが「いやいや落ち着け自分」と、踏みとどまることが出来ていました。
そうして様々な活動をしながら新しい趣味も見つけたりと、たまに衝動に耐えるだけで全く問題ない生活を送っていき、今まで抜け出すために学んだスキルのおかげでストレスも減り、日々の生活がラクになりました。
気のゆるみが命取り
そこからさらに数か月が進み、ギャンブル衝動はかなり治まっていき、私の場合は結局1年と数か月が経った時点で、人からギャンブルの話題を振られても、お店を見ても、遊戯台を見ても、とくにギャンブルをやりたいという感情は湧かなくなりました。
この時点でギャンブル衝動は消え去ったと思っています。
だがしかし、ここで問題が発生したのです。
私は元々答え合わせというか試してみる実験が好きで、「今の自分ならどうなるんだろう?」と好奇心が芽生えて自分を試したくなってしまい、パチンコをやってみてしまったのです。
試した結果は一発スリップ
まさに上記に書いた油断大敵もいいところですが、結果は見事一発でスリップしました。
この時はギャンブルの結果としてはちょっと勝ったかな?というくらいでめちゃくちゃ楽しんだ…というわけでもありませんでした。
終始「こんな感じだったなー」とひたすら懐かしいという思いがこみ上げてきていました。
そして後日…なんと次の休日には行きたいという思いが自然と発生しており
「まぁ1回やっちゃったしもうちょっと懐かしむか」と“自分に言い訳をして”また行っていました…。
ずるずる続くギャンブル生活
そこからはもう見事なスリップ具合で、なんだかんだ今日もいっちゃうかーと行くようになり、勝ったリ負けたりして2カ月近くの月日が経過していました。
衝動が無くても回復はしていない
この経験はギャンブル衝動が無い状態まで回復していても、結局のところ脳は回復しきっていないという証明になりました。
気付いた自分の状態
2カ月経過してやっと、「流れるようにギャンブル生活に戻ってる…」と自分の状態に気付くことができました。
そこからはもう一度気を引き締めて、今の自分のパターンを見直し、ギャンブルをやめた時の支えを思い出し、またしばらくギャンブル衝動と共に生活をしました。
そうして約2カ月程度で再度やめることに無事成功し、現在までまた数年ギャンブルから離れた生活を送ることが出来ています。
とにかく本当に自分でもびっくりするくらい一発でスリップしますし、再度やめる時にも改めてやめるぞと一度気合を入れる必要はあったので、皆さんは私のように試さないで欲しいです!
※私はこのサイトの方法を使っているのでスリップしてもすんなりまた止めれましたが、そううまくいくかは人によりますし、また対策するぞという気合はいりますのでスリップはしない方が絶対にいいです!
【対処】スリップしてしまった場合
私もスリップしてしまっていますし、絶対スリップしないとは誰も言い切れません。
そこで重要なのはスリップした場合をここで想定しておくことになります。
後悔はストレスに繋がる
「なんで自分はまた手を出してしまったんだ」
このような後悔はストレスに繋がり、ストレスはまたギャンブル衝動に繋がります。
ですので後悔は最小限に、「今やること」に集中していきましょう。
まずは気持ちを整理
気持ちを切り替えるためにもまずは下記をおこなっていきます。
- 失敗したときに自分の気持ちを記録
- 「なぜギャンブルをしたのか」を振り返り
- 次にどうすれば良かったかを考えること
また、他にも誰かに話すことで気持ちを整理するなどし、再発防止のための対策に進んでいきましょう。
STEP7の準備編を思い出す
STEP8の完全にやめるチャレンジに行く前に、自分のギャンブル衝動の大きさにもよりますが、一つ準備をしておきましょう。
上記でも書いていますが、生活サイクルを回し続けること。そのとき必要な対策をもう一度確認して、今の自分がどうなっているかを見直してみましょう。
しばらくやめて気が緩み、友人のギャンブル話を聞く機会が増えていたりしませんか?お店に近づいても平気になったからと意識せず前を通るようになってませんか?
そしてギャンブルをやめる為に支えにしてきたものたちをもう一度思い出して、再度やめるぞと気合を入れていきましょう。



気合と書いてますが、言い換えるとまたやめる為にルールを守って対策を頑張るぞといった気持ちです。
再びSTEP8に取り掛かる
STEP7で行っていた対策を今の自分に当てはめて見直し、良さそうだと判断したらまた再度STEP8の完全にやめるチャレンジをします。
やっぱり最初はきついかもしれませんが、前回よりかはラクになっているはずですので、もう一度頑張っていきましょう!
まとめ
ギャンブル依存症で一番きついのは私の経験からいうと間違いなく最初の数週間になります。
スリップはそのきつい状態に一発で戻ってしまう甘い罠。
私のようにギャンブル衝動が無くなった状態からでもスリップしましたので、大体の人は同じくスリップすると考えていいでしょう。
ですのでその甘い罠に引っかからないように、衝動が治まる間も、治まった後も、自分はギャンブルに対して防御力はゼロなのだと自覚し、ひたすらギャンブルから離れて生活する方が無難です。
皆さんが無事ギャンブルから抜け出せることを心より応援しておりますので、引き続き気を緩めず行きましょう!
今後このサイトではスリップ防止に繋がる様々な体験談や知識を引き続き記事にしていきますので、ギャンブル衝動を弱める為にも読んでくれると嬉しいです。
ポイント
- 一回くらいは大丈夫という甘い罠は大丈夫ではない
- 常にサイクルを回し続けること
- 複数の依存先を支えとする
- 依存症は治らなくても良い
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私は「この世界は、生きづらいものだ」と思っていた過去があります。
でもそう感じていたのは“思考の仕組み”が乱れていたことが原因だと気づきました。
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参考・出典
- 厚生労働省,依存症についてもっと知りたい方へ,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000149274.html - 厚生労働省,依存症対策,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000070789.html